徒然なるままに

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准教授・高槻彰良の推察EX2(著 澤村 御影)

タイトル:准教授・高槻彰良の推察EX2

著者:澤村 御影

評価:★★★★★

※表紙画像をクリックしていただけましたら、アマゾンのページにリンクしています。もし興味がある方は、ちらっと覗いてみてください!(^^)!

 

『准教授・高槻彰良の推察』シリーズの最新刊は、本編ではなくちょっとした番外編です。

全部で5話ありましたが、どの話もいろいろな登場人物の心情を考えられるもので、とてもよかったです。

 

やがてソレはやってくる

尚哉の唯一の同い年の仲がいい友人の難波君の彼女が遭遇した怪異の話。メリーさんの電話をもとにしたもので……怪異ではなかったわけだけど、はっきり言って怪異より怖い(-_-;)

 

遠山と猫の話

これは、尚哉と同じ能力を持った遠山が猫を拾った話。その中で、彼が「嘘を聞き分ける」力を得た経緯や、その後のこと、尚哉とかかわっている時、どういう風に思って接していたのかがわかる話でした。

 

大河原智樹の冒険

小学校に現れた怪異の時に出てきた、高槻になついている男の子のお話。周りとかみ合わなくてイライラしている男の子の心情は、なんか昔を思い出してむずがゆくなってしまいました。なんか、すべてにイライラしていた反抗期の頃の自分を見ているみたい(-_-;)

智樹君が今回巻き込まれたものは怪異ではなく普通の犯罪でしたが……その中に一つだけ怪異のようなものがありました。あれは、なんだろう??? 一瞬高槻の魂の一部が異界に取り残されているのかな? と思ったのですが、違う気もしてきていて、智樹君が想像していた通り、智樹君が一番信頼している大人の姿をして出てきたのかな、という気もします。

 

僕の友達の地味メガネくん2

これは、難波君と尚哉のお話。尚哉の能力を難波君が知ったときに彼の中にどんな葛藤があったのか、とかもありました。

ナンパで深く考えなさそうな難波君の右往左往して、傷ついて苦しんでいる姿は以外でもあり、そして、そうだよな、何も考えない人間なんているわけないよな、と思ってしまうものでもありました。

 

それはまるで祈りのように

最終話は佐々倉さんの話。高槻先生の過去もちょこっと出てきて、そして、異相のことを知って高槻先生と佐々倉さんがもめたころのお話。

佐々倉さんが尚哉のことをどう感じているのかもわかったいい話でした。大切にしてくれているのはなんとなくわかってはいましたが、いまいち本心が見えない人でしたので。警察官としての責務から守っているのかな、ともちょっと思っていましたが、それとは別に、守ろうと考えているのがよく伝わる一話でした。

尚哉が異相と関わることがなければいいのにと思う反面、関わることになったら……とも想像してしまいます。

 

最近は、「憧れの作家は人間じゃありませんでした」のシリーズと関わる内容なんかも出てきて、とても楽しいです。憧れの作家シリーズは終わってしまいましたが、その登場人物がまだ、別の話の中で生きていてくれるのがとてもうれしいです。