徒然なるままに

本の紹介や、シェイプアートなどなど、その時々ではまっていることをご紹介します★

晴明の事件帖

シリーズ名:晴明の事件帖

著者:遠藤遼

 

今回から、ちょっと読み方変えました。といっても、何か大きく変えたわけじゃなくて……ただ、一章や一巻などの区切りでいったん読むのをやめたときにその時に感じた覚書を書いておいて、それを見ながら全体的な感想をまとめる……という感じですが。結構面白く読めました。ただ……4巻だけ、Xでの読了ポストをきれいさっぱり忘れてしまっていたのですが(-_-

 

安倍晴明の話ですが、語り手は日記之家と言われている藤原実資でした。今迄読んだ本に出てきた実資は、道長つながりのモノなので、もっと気難しい人、というイメージでしたが(まあ、最もこの小説に出てきている実資も道長も若いのですけど。道長なんてまだ父親も兄も健在ですしね)、なんか、融通が利かない部分もありますが、思っていたよりも凝り固まった思考じゃなっさそうなのがいいですよね。……ただ、ものすごくヘタレでしたけど。花山天皇の元女御のえんし女王(のちの実資の妻)に好意を示されているのに、しり込みしているヘタレでもありますけど(-_-;)

今まで私が読んでいた平安時代の話は、怨霊やら陰陽師やら出てきても「心の持ちよう?」的な雰囲気のモノが多かったです(最近読んだ「源氏あやとき草紙」は違いますが)が、これは、完全に妖、陰陽師、神様、あらみたま……と次々と出てきていましたし、陰陽術も駆使されていました。清明の式として、十二天将が出てきたところでテンション爆上がりでした(^^♪

 

一巻のタイトル不穏すぎて、一番初めは妖か怨霊に天皇が誘拐でもされたのかと思いました(清明の話でしたので、そんな感じかな、と)が、途中で「あれ? この話の今上天皇ってもしかして花山天皇?」と思ったら、やっぱりそうでした。てことは行方不明は……史実的にもあるあれか。確かに、当時の人から見れば行方不明だよな……

史実で名前だけは知っているぞ、という方も多く出ていて、わくわくしながら読み進めていました。

いろいろなところで無能扱いされていた顕光、はじめ少しだけあれ、思ったよりまともな人として出てきている? と思っていましたが、やはり無能として書かれていました。ただ……とんでもなく自己評価が高いのと、たまぁに有能? っぷりを発揮して実資をだましたりもしていたので、政治家としては向いていないけど、他の道を選んだらよいのではないか? と思いましたね。まあ、あの思考回路じゃ厳しいですけど……。ただ、少し調べてみたところ(といってもネットで、ですが)、顕光が失敗するのは道長に関することだけなので、わざとじゃないか、という説もあるんですね。今回の話では失敗の中には意図的な失敗(本人的には、(自分にとって都合の)いい風に変えてあげた、というもの)もあったようですが。安倍清明のライバル陰陽師蘆屋道満をいいように使っていて、実は、手のひらの上でコロコロ転がされていただけでしたけど(^^♪

後は、怨霊として出てきた藤原道真(今書いている百人一首イラストは「彰子・定子の周囲の人々」というくくりで考えているので道真は無理かな、と思っていたら繋がりました。道長の曾祖父だった藤原忠平と道真が友人だったんですよね。しかも、道真を左遷させたのは、その忠平の兄。ただ、兄の家系はのちの没落、忠平の家系は相当栄えているし(なんせ、子孫にあの道長がいる)、忠平は、道真の祟りで内裏に落雷があったときに難を逃れていたみたいです。……私、あまりそういうのは信じないのですが、道真の怨霊っているかも……祟りってあるかも……と本気で思いました。

後印象に残っているのは、平将門ですね。それと興世王。この興世王は実在する??? と思っていたら、しました。しかも、将門の死後すぐくらいで亡くなってるみたい。

一番よくわからないのは道満。ただ、やり方はめちゃくちゃだし、ありえないけど……何かを守るために騒動を起こすことが多いですよね。しかも大体女子供。本質はやさしいのでしょうね。しかも、清明はそれをいろいろと理解していそう。いいライバル関係だな、とみていました。

 

ただ、最後まで読んでみて……終わり??? いや、ぜんぶまーるく収まって入るのですけど(疑問は大体解消されましたし)。ただ……実資の結婚とか、もっと先の未来をこの世界観で見てみたい!! と思いました。ただ、なんとなく終わりなきもしてはいるのですが(説明文に「清明最後の事件」とか書かれていますし)