タイトル:死の臓器2 闇移植
著者:麻野涼
評価:★★★★
前作で主人公だったテレビ制作会社のディレクターの沼崎恭太が今作でも主人公でした。前作でやり玉に挙げられていた医師もちょっとだけ出てきます。
テーマは臓器移植の闇。前回でも出てきた修復腎移植についてyahooで調べてみました。そしたら真っ先に出てきた医療系のノンフィクションブック「だれが修復腎移植をつぶすのか」とか、修復腎移植事件なんて検索ワードまで。本当にあったことが題材になっているのか、と思ったら、ちょっとびっくり、この「だれが修復腎移植をつぶすのか」はペンネームが違いますが、著者は同一らしい(「だれが修復腎移植をつぶすのか」の本紹介に、著者が麻野涼というペンネームで死の臓器という小説を出している、と書いてありました。びっくり仰天!! → ドラマ化した、とあったので知っている人は知っているのかも??? 私はドラマとか、映像ってどうもダメで、あまり見ないので知らなかったのですが(;^_^A
「だれが修復腎移植をつぶすのか」はノンフィクションなので、こちらを取材して書いて、死の臓器の執筆をしたのかな、と勝手に思ってます。
私は幸運なことに臓器移植が必要な状況ではないですし、家族にもそういう人がいないので、そんな状況を体験したことはありません。でも、きっと、幼い子供を移植でしか救えなくて、懸命になっている家族も多いのだろう、と思いました。そして、そういう家族を食い物にする人もいるのだろうな、とも思います(もちろん、そういう人だけじゃないのは重々承知していますが)。
そんなことを考えさせられる一冊でしたが、最後にはきちんと、移植を食い物にしている人を逮捕することができたのはよかったですが……最後の最後で、後味悪い!!
この著者はそもそもジャーナリストなので、きっとリアリティはあるだろうし、真実こうなるんだろうな、とは思います。読んでいて「この子、大丈夫かな???」とめちゃくちゃ心配にもなりました。
普段は読んでいるときに最後がぼかされるのは、あまり好きではないのですが、でも、最近はぼかしたほうがいい最後、もあることもわかってきました。ぼかされればいろいろな想像が入る余地があります。でも、今回はきっちり最後に一番知りたくないことを書いてくれた( ;∀;)
いや、本当に、面白かったんです。でも最後の最後、ここまで切実にオチをぼかしてほしかったと思ったことはありませんでした。リアリティを追求するノンフィクションなら、最後まできっちり書くべきでしょうが、小説なので、想像(という名の妄想)のよちが欲しかったです。
結構入り込んで読めていた一作でしたので、最後でちょっと泣きたくなりました。それでも、★4を付ける程度には、面白かったのですが……
こういう子供が一人でも減ってくれればいいのに、と願ってしまう一冊でした。