徒然なるままに

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千弥の秋、弥助の冬 〈妖怪の子預かります〉(著 廣嶋 玲子)

タイトル:千弥の秋、弥助の冬 〈妖怪の子預かります〉

著者:廣嶋玲子

評価:★★★★★

 

妖怪の子預かりますのシリーズ第10巻。

8巻の最期は、千弥の記憶から弥助が消えかけている??? というような不穏な最後でした。そして、ホンワカした1冊をはさんだ最後の話は、やっぱり予想通り重たくて悲しい話でした。読んでいる途中で思わず涙ぐんでしまいました(電車の中だったのに……💦)

少しずつ、大切な大切な弥助のことを忘れていっている千弥。忘れた思い出は蘇らないのに、弥助との思い出が手のひらから零れていっていることには気づいている千弥。怖い、怖い、怖い……。そんな思いが伝わってくるような気さえしました。

そして、その千弥の様子がおかしいことに気づいている弥助。何とか役に立ちたいと思っているのに、どうすればいいのかわからない弥助。何とか助けようと宗鉄先生のところへ相談に行ったのに、結局答えは見つからなくて……。

そんな弥助の焦りとは裏腹に、あの娘に甘々な宗鉄先生が、医師の顔をして娘をしかりつける様子にああ、医者であり親なんだな~としみじみ思いました。甘いだけのよくいる毒親なら(まあ宗鉄先生は違うのはわかっていましたけど)、あの場面でも弥助をしかりつけるだろうに、しっかりと娘に医者としての心構えを教える場面はついついほっこりしてしまいました。

そして、千弥を助けることができない事実に、弥助は絶望し……。

でも、最後の終わり方はよかったな、と思いました。まさか、千弥の過去で出てきたあの妖に助けられるなんて……

突然妖として生まれ、親も子も家族もなかった千弥。でも、弥助と出会い、弟のような息子のような存在に助けられ、今度は兄として弥助にめちゃくちゃに甘やかされて育てばいい、と思います。

たぶん、あの赤子と弥助のその後、それが今は3巻まで発売している、第2シーズンなのだろうと思います。

読むのがとても楽しみです。