徒然なるままに

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准教授・高槻彰良の推察9 境界に立つもの (著 澤村 御影)

タイトル:准教授・高槻彰良の推察9 境界に立つもの

著者:澤村 御影

評価:★★★★★

 

集めているシリーズの最新刊です。

当シリーズの主人公である尚也が大学三年生になり、高槻先生のゼミに入ったころのお話です。

短編連作集で全部で4話ありました。

初めてのゼミで、数少ない男子生徒と一緒に研究をすることになって「幽霊」が出るといわれているトンネルに調査に行った尚也が目にした怪異とそれにまつわる事件の話。同じ大学の三年生から依頼された髪切り事件の話、尚也・高槻・佐々倉の三人で旅行に行った先で尚也が巻き込まれた怪異の話、そして、高槻が大学に入学したころの話。

それぞれの話はさほど長くはなくさらりと読めてしまいました。

私は、昔からつながりのある話が好きでした。歴史小説なら同じ作者様の話を読むと、同じ方が書いているので同じ設定ではなくても名残があっていいと思ったり、主人公は様々ですが、同じ世界観なので、別の物語の登場人物が出てきたり、見え隠れしたりしているのがとても好きです。この話は、著者様の処女作である「憧れの作家は人間ではありませんでした」のシリーズが見え隠れしているのがとてもいいです。

表立って出てくる人は多くはありませんが、作家のシリーズのメインキャラが今回、影として、もしかしてここにいるのでは……という場面があって思わずわくわくしてしまいました。こういうのを読むと、作家シリーズの続きも読みたい、と思ってしまいます。

それはさておき、このシリーズも一冊目と比べて尚也君がとても成長しています。そして、彼が悩んでいる、未来はどう転んでいくのか、これからも楽しみです。あと、「もう一人」のことも。