徒然なるままに

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元法務省心理技官が語る少年鑑別所の話(松嶋祐子)

タイトル:元法務省心理技官が語る少年鑑別所の話: 心理士は非行少年をどのように理解するのか

著者:松嶋祐子

評価:★★★★★

 

ミステリー小説が大好きで、ミステリー系の話を書きたいし、書いているのに事件や法律に詳しいか、と言われるとそうでもないので、このタイトルを聞いたときに、「読もう」と思いましたが、結局読み始めるのに2か月近くかかってしまいました(;^_^A

少年事件と言えば、殺人事件やら凶悪事件やらが何となく浮かんでしまっていましたが、どちらかというとそういうのじゃなくて万引きとか、窃盗とかそういうのが多いんだな、とちょっと意外でした。でも、確かに言われてみれば、成人の事件でも、少年事件でもそうですが、万引きとか、窃盗とか、自転車泥棒とか……あまり大々的にニュースにならないですよね。前に、「昔に比べて凶悪事件が増えたっていうけど、実際は凶悪事件が増えたんじゃなくて、情報収集の手段が増えたんだ」という話を聞いたことがありますが、これがまさしくそうなんだなと思います。

 

前半では少年法について、わかりやすく解説してくれていました。こういう法律的な本って難しい言い回しでわかりづらいものが多いのですが、この本は難しい法律を普通の人にもわかりやすく書いてくれていましたので、とても勉強になりました。

後半では、少年鑑別所でどうやって少年たちを分析しているのか、どうやって接しているのか、などなどそんな話が中心でした。今、カウンセラーの話を書いているので参考にできないかな、と思ったのもこの本を手に取ったきっかけでした。

それと少年院と少年鑑別所の違いなどなど……っていうか、私ミステリー描いてるのに、少年鑑別所って普通に少年院のことだと思ってました(;^_^A どれだけ情弱なんだ……

少年鑑別所で行う精神分析の方法や、4週間という短い期間でどうやってかられを理解し、接していくのか……そんなことを著者の実際の経験と、質疑応答のような形で描かれていて、とても分かりやすかったです。ちょっと自分が描いた小説を思い浮かべながら、読んでました。私が描いている小説の設定を一部変えたほうがいいのか? などとも思いましたが、同時に「いやいや、フィクションだし……というか、未成年じゃないし」などと思いながら読んでいました(;^_^A

少年鑑別所に対する印象ががらりと変わりました。なんか漫画である、殺伐とした雰囲気を思い描いていましたが、少年鑑別所の役割は罰を与えること、ではなく、更生し成長の機会を作ることなのだと知ることができました。