徒然なるままに

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あの日、松の廊下で

タイトル:あの日、松の廊下で

著者:白蔵 盈太

評価:★★★★★

 

数日前に読んだ『討ち入りしたくない内蔵助』の前日譚の話です。討ち入りしたくない内蔵助の時に詳細が不明だった、すべての始まりの事件。物語の視点はそのすべてを見た人物、吉良上野介浅野内匠頭の二人をよく知り、彼らを尊敬していた下級旗本、梶川 頼照(日記のようなもので、この事件について書いていたらしいです)視点で描かれています。

私は、討ち入りしたくない内蔵助を先に読んでしまっていましたが、確かに順番が逆ならよかったとつくづく思いました。

幕府の思惑(という名の将軍の無茶ぶりと独断)と、手紙でしかできないやり取り、無能な部下、役に立たない指南役……そのすべてが絡み合った事件だな、というのが読んだ感想です。読んでいると両者の状況がよくわかり、誤解の内容も理解できますが、どちらか一方しかわからなければ、たぶんどちらも腹立たしく感じるだろうな、と思います。ただ……どうせ切るなら、役に立たない指南役を切ればいいのに……彼らがいなければ、もっと別の形になったと思うのですが(-_-;)

あと、浅野内匠頭の部下は無能だけど、領主を尊敬する念だけは強かったそうです。でも、無能すぎて、浅野内匠頭の心労を増やしている、あれかな、大石内蔵助が江戸にいればよかったんじゃ……一時的に江戸の家老と立場入れ替えていればこんな事態にはならなかったのでは? なんていうか、報連相って大事だよな、と考えさせられる一冊でした。