更級日記女
タイトル:更級日記
著者:菅原孝標の娘
訳者:原岡 文子
『平安後宮の薄紅姫』の薄紅の姫様が更級日記の作者だと知り、更級日記を読んでみました。
物語であり史実ではないことを知っているつもりでしたが、根底の知識が薄紅なので、ちょっと戸惑った部分もありましたが……思ったより後宮勤めがさらっとしていたり……佑子内親王には一時期仕えていたみたいですが、おそらくそこまできっちりとした出仕ではなく、たまにはべるというだけだったのも。そこまで読んでふと、そういやそうか……あの薄紅は後宮の女房でしたけど、中宮や女御に仕えるの本来それぞれの家が雇っている女房なので、兼任できるはずがないんですよね。あの話では兼任してましたけど……。そこまで考えてようやく頭が切り離せました。
私は物語は物語で、史実通りを願うのであれば、史実書を読むべきで、ライトノベルや歴史小説は作者の望んだ流れにするための創作がふんだんに入るもの、という考えですし、それはいまだに変わりません。でも、違和感を感じることもあるので頭を切り離すのに、少し時間がかかることもあります。
今回困ったことに……先に薄紅を読んでいたので、それを切り離すのに少し時間がかかりました(⌒-⌒; ) 更級日記の方が真実の歴史なのはわかっているのですが……💦
更級日記は日記であり物語ではないのでドキドキワクワクはありませんでしたが、昔の……平安時代の生活に触れられたみたいで、少し嬉しかったですし、難しい部分も多かったですが、紫式部日記よりは読みやすかったです。
ただ、最後の章は……孤独が描かれていてもの悲しかったです。
更級日記の作者は書いたと言われている物語『浜松中納言』(もちろん確実ではなく、これは可能性があるという程度に話のようですが。文体が似てるのかな?)も読んでみたいと思ったのですが、良さげなのがみつからなかったので一旦保留で。
紫式部日記は宮中での出来事……というよりまるで記録のようでかなり難しく感じたのですがmあれは娘の硬子に後宮について教えるための記録だという話も読んだことがあったので、なるほど、と納得しました。
いつもは後書きや解説が読まないのですが、こういう古典日記はそこまでが本文という認識もあるので、読んでみました。
更級日記は、作者が孤独になった夫の死後に過去を回想して書かれた可能性が高いみたいですが、だとしたらあそこまでの細かい記述、すごすぎる……。あと、綴じ順番が狂っていた時期があったらしく、一時期話が繋がらない部分も多かったようです。それを研究して順番を直したのが現存している更級日記とのことで、研究者ってすごいなとつくづく思います。
