タイトル:望みしは何ぞ
著者:永井路子
先日読んだ、道長の話、『この世をば』の続編のようなストーリーです。この世をばではサラーっと流された最後の方の話から、道長の死後のお話を、彼の息子である藤原能信(ふじわらのよしのぶ)視点で描かれています。
能信は道長の息子ではありましたが、強い後ろ盾を持っていた倫子ではなく、背景が弱い上に、おそらく貴族の奥方としての能力も足りなかった明子の子供です。実は、はじめ『この世をば』で若くしていきなり出家をした子供の話かと思って読んだのですがその弟の話でした。
道長は長い下積み時代を経て、その後幸運に恵まれた為政者でしたが、息子の能信は違いました。そして、同じ道長の子でも倫子の子供と明子の子供では出世のスピードが段違いだったようです。そんなときに、能信は道長と倫子の子でありながら、唯一幸運から見放された(天皇に嫁ぎながら世継ぎの男児を生むことができなかった)らしい娘、妍子が産んだ娘の禎子にすべての望みをかけました。そして、彼女が東宮に嫁ぎ、男児をなし、その男児が東宮になりました。でも、望まれない東宮に……そして、その東宮に自身の養女を嫁がせています。
周りから冷遇されて、忘れ去られていたとしても、彼ら親子のことを能信は支え続けました。そして、その子供たちに自分の道を(出世)を託し、恵まれ続けていた鷹司系の子息(倫子の子供たち)の上に、自分たちが行くことを夢見ていましたが、結局その夢の結果を見ることなく、亡くなってしまったそうですが、その二年後に望みを託した子供は天皇として即位し、自分の娘(養女)の息子が東宮となりました。あと少し、生きていられたらその先を見れたのに、と残念な気分になってしまいました(-_-;) 歴史小説なので結末は決まっているのでしょうけれど。そのあとすぐにwikiで調べてみたら、能信の義孫にあたる白河天皇は彼を外祖父としても大切に思っていたようです。
面白くてどんどん読み進めてしまっていました。
運に愛されていたであろう道長とは違い、能信は結局最後まで運に見放されていたな、と思いましたが、それでも、不遇の時代を長年生きてきて、最後に彼の望みを託した子供が天皇の血をつないでいく様子は凄いな、と思いました。
後、実は道長と倫子の子供たちである、頼通や教通とつながりの強い娘たちは子供、特に男児に恵まれず、流れてしまった子もいました。でも、今の時代からすれば当然の流れなのだろうな……と思います。そのころ、天皇も后も、ほとんどが道長の血筋でした。叔母と甥とか、従姉弟とか……そんな近しい血筋ばかりなので、きっと厳しかったのだろうな、と。能信の娘として東宮の后とした茂子は道長と血のつながりがないからこそ、子だくさんだったのだろうな、と思います。実の父親の身分が低くて、かなり非難はされていたみたいですけれど、結局天皇の母となれたのは彼女なんですよね。
めちゃくちゃ面白かったです。
次はミステリーにするか……それともお気に入りに突っ込んでいる永井路子さんの話にするか、ちょっと決めかねています。どうしよう……
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