タイトル:邪魅の雫 全3巻
著者:京極夏彦
評価:★★★★★
京極堂シリーズの一つです。
正直、ころころと視点が変わり、そのたびに、新たな事実や、別の角度から見た事実が語られていて、頭の中で整理するのが難しかったです。たぶん、そういうのが京極夏彦さんの本の良いところ、なのだろうという気がします。
今回の話、私が最近絵を描いているからなのか、なんとなく色の原則の図を思い出しました。といっても、読んでいるうちにその図の印象が次々と変化していったのですけど。
初めは、一つの円でしたが、それが、RGBでよく見る、色見本的な図形になりました。
いくつもの円が少しずつ重なり合って、大きな円を作っているようなそんな印象です。
連続殺人事件として捜査を進めているけど、それにしてはうまくかみ合わないものがあるのが、読んでいてわかりました。
次は、少しずつ重なり合った円が横に並んでいくイメージが頭の中にできました。はじめと最後の円につながりはもうなくなっているのでは、というような印象です。
でも、最後、京極堂が出てきたて解説が始まるころには四つの円が重なりあっているイメージが浮かんでいました。
なんか、文章で書いているとわからないですけど、こんな感じです(絵にしたところで、わかりやすくはならなかったですが……)
相変わらず前半部分はどうしても一つ一つの話がつながらなくて、混乱もさせられましたが、すべて読み終わったら満足できる一冊でした。
何よりも驚いたのは……京極堂、ではなく、榎木津探偵の過去の恋愛譚です。あの探偵が唯一本気で付き合った女性。結婚する可能性さえあった女性。え? あの人にも人並みの感情が??? というか、長い年月がその人を変えてしまったのか、一時でも、あの女性と榎木津が付き合っていたのが信じられないです。あの探偵がこの世で一番嫌いそうなタイプな気がするんですが……(-_-;)