徒然なるままに

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電子百鬼夜行 鉄鼠の檻(著 京極夏彦)

      

タイトル:鉄鼠の檻

著者:京極夏彦

評価:★★★★★

 

小説の評価はいつもかなり迷います。こいつもかなり迷いました。中山七里さんの小説を読むときのように完全完璧パーフェクトに主人公と同化するわけではないですし、どちらかというと傍観者に近い。そもそも、京極堂こと中禅寺は同化するにははっきり言って頭が良すぎます。というか人間離れしすぎている。でも、語り手の一人、関口さんには若干同化しやすい。でも、彼でもなくて、登場人物の誰でもなく、でもドラマを見ているような感じでもない、不思議な感覚。ただ、スッと物語の中に入り込んでしまう感じはありました。なので今回は★5にします。

京極夏彦の話は読めば読むほど、没入度が増えていきます。私が慣れてきたからなのかな?

 

今回の話はめちゃくちゃ難しかったです。え? 京極夏彦の頭の中ってどうなっているの???? 今回のメインはお坊さんでした。座禅だの、浄土真宗だの、そういった禅の解説もものすごくいろいろと出てきていました。ただ、難しくて右から左……聞いたわけではなくて読んでいたのに、そう思ってしまった。

お坊さんが次々と殺されていく事件。疑問や不思議はいろいろとありました。次々と殺されて連続殺人であることは変わりないはずなのに、被害者に共通した殺される理由なんてないです。そのお寺はちょっと不思議で、同じお寺の中に様々な宗派のお坊さんが集っていました。そのお寺が本来は絶対にありえない存在で、どこにも載っていないものなので、その調査のために集まったようです。でも、初めはそうでも、次第にそこで生活するのが普通になった。初めはその調査自体がそれぞれの宗派の大物のの寺がしているのかと思っていたけれど、結局たった一人の影響力が強い僧侶の妄執でしかなくて、その一人が亡くなって二十年以上たつと、彼の影響を受ける僧侶自体がほぼいなくなっていました。

そして、動機のほかの最大の疑問は被害者の殺害後の死体遺棄の方法。理由も意味も分からず、現場も大混乱。しかも、京極堂いわく「二重の結界」が貼られているらしく、その結界の中、寺の中にいる人間はどこか、おかしな状況へとなってしまいます(;^_^A

京極堂の十八番、憑き物落としは今回は最後ではなく中盤にありました。その憑き物は何とか落とせたし、ほかの憑き物もいくつかは落とせました。でも、最後の難関、最大の憑き物は手も足も出なかった。落とす間、さえありませんでした。

結局あの犯人は……そして、あの子(あの人?)はどうなったのだろう……そんななぞは若干残りますが、この謎は残っていたほうがいい気がします。もしかしたら、今後出てくるかもしれませんし、出てこないかもしれませんが、こういう不安定な謎が残る物語も、最近は好きです(一時期は苦手だったんですけど(;^_^A)

あ、あと、今回の話、漫画(スピンオフ)でちょこちょこ出てきていた今川という古物商とこのシリーズの初め、姑獲鳥の夏に出てきたお医者様(初めぜん、ぜん気づきませんでした(;^_^A)が出てきました(^^♪

こういうのがシリーズの醍醐味ですよね? 知り合い? え? 誰だっけ??? とか思っていたら、まさかの、あの人か!! と。あれ、なんか雰囲気違わん? こんなだっけ? あの事件のさ中は、この人もおかしくなってたのかな? と思わなくもないです。後、あの事件の時に名前だけ出てきたすべての現況が、寺にいた。しかも、坊主として。え??? は??? お前、マジか? と。完全に死んだと思ってたのに(;^_^A

 

今こうして書いていると、没入度が増えている、というよりは、12冊読んでいるうちにだんだんと、私がこの百鬼夜行シリーズの住人になっているのでは??? なんて思ってしまいました(;^_^A

ちょっと別の短編を挟んでから、電子百鬼夜行シリーズの次の話を読みます。そろそろ折り返し近いかな? でも、電子百鬼夜行シリーズ以外もこの方の話、登場人物が被ってそうだからめちゃくちゃ読みたいです。しばらくは「何読もうかな???」と悩むことはなさそう(^^♪