徒然なるままに

本の紹介や、シェイプアートなどなど、その時々ではまっていることをご紹介します★

境界線(中山七里)

タイトル:境界線

著者:中山七里

評価:★★★★★

 

中山七里さん、やっぱ好きだーーーー! と大騒ぎしてしまいたい一冊でした。

東日本大震災で遺体が見つからずに行方不明となっていた人の戸籍の売買がテーマでした。東日本大震災の被災状況の描写はまるで作者自身が経験者なのかと思ってしまうほどの的確な描写でまるで目の前で水に飲み込まれている人が見えるような錯覚を感じてしまいました。

朝よんで………仕事したくない、続き読みたい、と思ってしまいました。

 

主人公は被災者であり、そして、大震災で大切な家族を失ってしまった。しかも最後の会話は妻との喧嘩………そして、妻も幼い息子も遺体さえ見つからない。そんな失意の中で突然聞こえてきた妻の名前を持つ遺体。慌てて臨場してみたら、明らかな別人………初めは仕事の合間に調べてて、でも、もう一人そういう被害者が出てきてて、戸籍の売買を追うことになる。

 

犯人の生い立ちも、性格も、考え方も予想外で、そして、学生時代、被災時、現在を見て、ひどく壊れている犯人にゾッとしました。そして、学生時代の約一年間しか関わりのなかった相手のために、そこまでできる、という繋がり目に見えてわかりました。そして、人の心を簡単に壊してしまう災害の規模が怖かったです。私はカケラも体験をしていないのに、まるで津波にさらわれる人を見ているかのような心地になりました。

 

東日本大震災は、未だに話に聞くとすごい。というか、私のところが震源地とかなり離れてて、それでもそこそこ揺れました。ただ、それでも震度三か、四くらいでしたけど。だから、想像もつかないけど、そんな私でさえその世界へ誘われてしまう文章力。

中山七里さん、相変わらずすごいです。読む本読む本、世界の中に引き摺り込まれる作家は中山七里さんだけです。だいたい当たり外れがあるのに、中山七里さんの本ではずれを引いたのは一回だけでした。

まだまだよんでない本が多いので、色々と読んでみたいです!